AIの検索・回答で自社の情報を見つけてもらうための整備(LLMO)を外注する場合、提案書の「引用率」という数字だけで判断するのは避けてください。大切なのは、作業の範囲と、その結果をどのように測るかという条件です。まずは、自社がどのサービスを、どのような質問でAIに調べてもらいたいのかを整理することから始めましょう。
業務の範囲はどこまで含まれているかを確認する
どのような質問を調査の対象にするのか
AIの回答に自社情報を載せるための第一歩は、「利用者がAIに対してどのような質問をするか」を調べることです。支援会社が、単に「AIに聞けば出ます」と言うだけでなく、具体的にどのような質問(利用者がAIに入力する言葉)を調査対象にするのかを確認してください。例えば、「〇〇の選び方は?」といった一般的な質問なのか、それとも「地域名+サービス名」のような具体的なものなのかによって、対策の難易度や効果が大きく変わります。調査の前提となる「質問のリスト」が提案に含まれているかを確認しましょう。
技術的な修正とコンテンツ制作のどちらを行うのか
対策の内容には、ウェブサイトの仕組みを整える「技術的な修正」と、情報を増やす「記事の制作」の2種類があります。技術的な修正とは、AIが情報を読み取りやすくするための専用の目印(構造化データといいます)をサイトに埋め込む作業です。一方で、記事制作は、AIが回答の根拠として使いやすい文章を新しく書く作業です。見積もりを見る際は、これらが両方含まれているのか、あるいはどちらか一方だけなのかを明確にする必要があります。例えば、技術的な修正だけでは情報不足で回答されず、記事制作だけではAIが情報を拾いにくいといった事態を防ぐためです。
公開の権限と更新のルールはどうなっているか
支援会社に作業を任せる際、情報の公開権限をどこまで渡すのかを決めておく必要があります。例えば、支援会社が作成した記事を、自社の確認なしにそのままウェブサイトへ公開するのか、あるいは必ず担当者の承認を得るプロセスを挟むのかという点です。すべてを任せきりにすると、自社のブランドイメージに合わない表現が公開されてしまうリスクがあります。契約前に、作業の進め方として「作成・社内確認・公開」という手順が組み込まれているか、また、公開後の情報の更新作業はどちらが行うのかを、見積書や業務範囲の欄で確認してください。
成果を測るための条件を明確に決める
引用率の数値だけで判断してはいけない理由
AIの回答の中に自社の情報がどれくらい含まれているかを示す「引用率」という指標があります。しかし、この数値だけで支援会社を選んではいけません。なぜなら、引用率は「どのAIを使うか」「どのような質問をするか」「いつ確認するか」によって、毎日大きく変動するものだからです。例えば、ある日は高い数値が出ても、翌日には全く異なる結果になることも珍しくありません。数値の高さだけを追い求めるのではなく、その数値がどのような条件下で測定されたものなのか、その根拠となる記録を見せてもらえるかを確認することが、正しい判断につながります。
どのような環境で計測を行うのか
成果を報告してもらう際は、計測の「環境」についても質問してください。AIの種類(ChatGPTやGoogleのAI機能など)によって、情報の拾い方は全く異なります。また、確認した日時や、どのようなキーワードで検索したかという条件も重要です。例えば、「特定のAIモデルでのみ高い数値が出ている」という場合、それは自社の全体的な対策として有効とは限りません。支援会社に対し、「どのような質問を、どのAIに対して、いつ行った結果なのか」という具体的な計測条件を、レポートの項目として明記してもらうよう依頼しましょう。
AIの回答と実際の問い合わせをどう区別するか
AIの回答に自社情報が含まれることと、それによって実際の問い合わせが増えることは必ずしも直結しません。AIの回答は利用者の検討プロセスの一環であり、そこから自社サイトへの遷移や問い合わせなどの成果に至るまでの経路は多様です。そのため、AIの回答の変化(引用の有無など)と、自社サイトの訪問数や問い合わせ数の変化を分けて記録し、両者の一緒に変化したかを慎重に観察する必要があります。支援会社には、単に「AIが言及した回数」を報告するだけでなく、サイト流入数や問い合わせなどの成果といったビジネス指標の変化をどのように捉え、分析する計画があるかを確認してください。
支援会社とスムーズに連携するための準備を行う
自社からどのような情報を共有すべきか
支援会社が効果的な対策を行うためには、自社の製品やサービスに関する正確な情報が必要です。例えば、製品の強み、よくある質問(FAQ)、ターゲットとなる顧客が抱える悩みなどの資料を共有しましょう。情報が不足していると、AIが誤った情報を回答したり、自社の意図しない形で紹介されたりする原因になります。支援会社から「どのような資料が必要か」を事前に聞き出し、自社の最新の情報を整理して渡せるように準備しておくことが、プロジェクトを円滑に進めるコツです。
どこまでを外注しどこを自社で行うか
すべての作業を外注するのではなく、役割分担を明確にすることが重要です。例えば、技術的な修正や記事の執筆は専門知識を持つ支援会社に任せ、最終的な内容の確認や、自社のブランドイメージに合っているかの判断は自社で行うといった形です。特に、ウェブサイトの構造を変更する技術的な作業については、サイトの安定性やセキュリティの観点から、自社のIT担当者や専門家に確認を仰ぐプロセスを必ず入れてください。どこまでを任せ、どこを自社でコントロールするかを事前に決めておきましょう。
成果を確認するために必要な資料は何か
支援会社から受け取る報告書には、どのようなデータが含まれているべきかを確認しておきましょう。単に「引用率が上がりました」という結果だけでなく、どのような質問に対して、どのような回答が生成されたのかという「生データ」に近い記録が求められます。例えば、対策前と対策後のAIの回答内容を比較できる資料があれば、どのような変化が起きたのかを具体的に把握できます。契約の段階で、どのような形式の報告書が、どの程度の頻度で提出されるのかを明確にしておきましょう。
最終的な発注判断を下すための基準を持つ
実現不可能な約束をしていないか
提案の中に「必ず引用される」「確実に売上が増える」といった、AIの性質上、完全にコントロールできない結果を保証する表現がないか注意してください。AIの挙動は常に変化しており、外部の会社であってもその結果を100%保証することはできません。もしそのような強い言葉が使われている場合は、その根拠を尋ねてください。具体的な数値目標を掲げることは問題ありませんが、それが「どのような条件下での目標なのか」という前提条件がセットになっているかを見極めることが大切です。
費用対効果を比較するための視点は何か
支援会社によって、提示される金額には大きな差があります。単に「総額が安いから」という理由だけで選ぶのではなく、その金額の中に何が含まれているかを分解して比較してください。例えば、記事を1本書くのにいくらかかるのか、ウェブサイトの修正作業にはいくらかかるのかといった、作業ごとの単価を確認することが大切です。また、月々の運用費用の中に、毎月のレポート作成やデータの更新作業が含まれているかも確認しましょう。作業の細かな内訳を比較することで、長期的に見て自社にとって無理のない、納得感のある費用感を見極めることができます。
契約終了後のデータの扱いを確認する
支援会社との契約が終了した際、それまでに蓄積したデータや作成したコンテンツをどのように扱えるかを確認してください。例えば、支援会社が作成した記事の著作権はどちらにあるのか、これまでの調査結果や計測データは自社で引き継げるのかといった点です。もし契約終了後にデータが引き継げず、また記事の更新もできなくなってしまうと、それまでの投資が無駄になってしまう可能性があります。契約書の中に、データの所有権や解約後の取り扱いに関する条項が含まれているかを確認しておきましょう。
自社の現在の状況を整理し、どの範囲までを外部に任せたいかを検討した上で、専門家への相談を進めてください。
引用率などの数値を比べるときは、何件の質問を対象に、何を引用一件と数えたのかを確認します。質問文、サービス、確認日、検索機能の利用条件が異なる数値を、同じ指標として並べないようにしましょう。
参照情報・確認日
以下の公式情報を背景に、本文の手順・判断例はAX labsの提案として整理しています。料金や効果の保証は扱っていません。
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確認日:2026-10-15